オシャレな店舗が増え、TVなどで特集が組まれることも多くなったコインランドリー。厚生労働省の調査によると、平成8年度から平成25年度までの間だけでも、5,900店増加している成長産業の1つです[注1]。
また、投資としても、人件費がかからず安定した収入が得られると注目されています。
しかし、本当にコインランドリーは儲かるのでしょうか。詳しく解説いたします。
[注1]厚生労働省:コインオペレーションクリーニング営業施設の衛生実態調査、2ページ[pdf]
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/seikatsu-eisei22/pdf/coin-operated_laundry.pdf
コインランドリー経営が儲かる理由は主に4つ
コインランドリー経営が儲かると言われる理由は、主に4つ。ひとつずつ見ていきましょう。
1.人件費がほとんどかからない
コインランドリーの日常業務は、店舗清掃・洗濯代回収・洗剤類や両替機のコイン補充くらいなので、オーナー以外でも人を雇えば代行が可能です。
店舗の規模にもよりますが、営業に必要な人数は、毎日1〜2時間、スタッフ1人で十分ですので、人件費を抑えられます。
また、オーナー自身が業務を行う場合は、その人件費もかかりません。
2.高い利益率
コインランドリーは初期投資が高額ですが、開業後は定期的に仕入れが必要となるものは洗剤類だけで、原価率は25%程度です。
コインランドリーの一般的な客単価は600〜1,000円くらいですから、450〜750円程の利益が見込めます。
なお、大型機器を設置している場合は、その分利用代が高くなるため、客単価は1,500円前後になります。
3.ニーズが高い成長産業
共働き世帯が増加し、洗濯を週末にまとめて行う人も増えています。場合によっては、大量の洗濯物を家庭の洗濯機で洗うために、貴重な休日が半日つぶれてしまうこともあります。
しかし、コインランドリーを利用すれば移動時間こそかかりますが、時間は短縮され半乾きの心配もありません。
また、布団など大きな洗濯物やスニーカーなどを洗濯する目的でコインランドリーを利用するという人も増えています。
さらに最近は、来日する外国人観光客や留学生・外国人労働者が利用するケースも増えているので将来的にもニーズは高く、新規店舗も増えています。
4.景気変動の影響が少ない
事業を行う際の不安要素である景気の変動ですが、洗濯は日常生活に必須なものですから、影響を受けにくく安定した収入がのぞめます。
利益は売り上げの半分程度
どんな商売も売り上げが全て利益になるわけではありません。コインランドリーの場合も、水道代・光熱費・洗剤などの消耗品にかかる諸経費はもちろん、各種保険・固定資産税や初期費用を借り入れているケースは返済金が必要となります。
さらにフランチャイズ契約をしている場合、ロイヤリティを支払う必要もあります。
コインランドリーの1日の売り上げは15,000〜50,000円程度が平均的。そこから月十数万円が経費としてかかるのに加え、ローン返済やロイヤリティを支払うと手元に残るのは半分程度です。
具体例として、初期費用を全額ローンで開業した場合のランニングコストをご紹介します。借入金額は1,300万円で、内訳は1,000万円が機器購入費、工事費が300万円です。
売上額(月額) : 600,000円
店舗の家賃 : 80,000円
借入金返済 : 190,000円
管理費・光熱費 : 150,000円
店舗運営代行費 : 10,000円
このケースでは毎月43万円近くがランニングコストで、手元に残るのは17万円程度です。更にローンは10年で終わるので、その後は36万円程度の利益が見込めます。
地味な儲けでも緩やかな右肩上がり
コインランドリーの売り上げが急激にUPすることはほとんどありません。儲かり方は地味ですが、緩やかに右肩上がりで利益は上がっていきます。利益をあげるためには、利用客を引きつける魅力が必要となります。
例えば、ある店舗では家庭でも使用されている柔軟剤ブランドを使用し、機器にも商品のかわいいキャラクターの飾り付けをし、以前よりも売り上げが140%UPしたそうです。
最近は女性の利用客が増えているので、内装や外装をオシャレで可愛くするのもおすすめです。また、カフェやキッズスペースなどを併設している店舗も人気を集めています。
利益が確実に生まれるのは1〜2年後
どんな投資商品でも、スタートしてすぐに安定した収入が得られる可能性は低め。同様にコインランドリーも軌道に乗るのは1〜2年後のケースが多いです。
開業初月の売上は10万円以下になることもあるうえに、ランニングコストがかかります。余剰資金がない場合は、せっかく開業したのにすぐに閉店ということに。。。
このことから、コインランドリー投資は長期的にじっくりやっていく人に向いています。最初から利益がないと困るような切羽詰まった人には向いていません。先ほどご紹介したランニングコストの具体例も、サラリーマンが副業で開業したケースで、安定した本業の収入があるからこそ成功しています。
儲かるかどうかはマーケティングとマネージメントの努力次第
利益をあげるには、チラシやWebサイトなどで店の存在を知ってもらい、ユーザーに満足してもらうだけのサービスを提供しなければなりません。
立地にもよりますが、近隣に競合店が先に開業している場合は、そこの利用客を引っ張ってくる必要もあります。今まで利用していた店よりもいいと思ってもらえば、次からはこちらのリピーターになってくれるでしょう。
逆にこちらが先に開業し、後から競合店ができた場合はお客様を奪われないような努力が必要です。
安定した利益が見込めるのは2年目から
コインランドリーのオーナーには専門的な知識や技術は不要ですし、清掃と集金、両替機のコインや洗剤類の補充がしっかりできていれば問題はありません。
このような通常業務もスタッフを雇って代行できるので、副業としてコインランドリーを選ぶ人も増えています。
しかし、安定した利益を上げるには1〜2年かかるケースがほとんどで、オーナーはマーケティングとマネージメントに努める必要があるでしょう。決して大きな利益が得られるわけではありませんが、長期間安定した利益が得られます。